先に商標を使用していれば、商標権侵害にはならないですよね?

商標権侵害を問われた場合、侵害を免れるための方法の一つに、「先使用権」を主張する方法が挙げられます。

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<教えて!> 先に商標を使用していれば、商標権侵害にはならないですよね?

<教えて!> 先に商標を使用していれば、商標権侵害にはならないですよね?

Date : 2013年03月28日

Text : Kouichi Kawai

※この記事はフィクションであり、実在する人物、団体、登録商標等とは一切関係ありません。

大正から続く老舗旅館「上々旅館」の女将です。
人口3000人ほどの小さな町にある旅館ですが、町中の方々に知られています。
先日、一通の封書が届き、「上々旅館」は送り主の登録商標なので使用を止めるよう要求されました。
調べてみると、確かに送り主の甲さんは「上々旅館」の商標権を取得していました。とはいえ、甲さんが商標登録出願をしたのは8ヶ月前で、商標登録が認められたのはわずか2ヶ月前です。
大正からずっと「上々旅館」を使い続け、地元の皆様にも愛されている我々が、甲さんから文句を言われる筋合いはないと思っています。

回答

先に使用しているというだけで商標権侵害を免れることはできません。

商標権侵害を問われた場合、侵害を免れるための方法はいくつかあります。
その一つに、「先使用権」を主張する方法が挙げられます。
商標権者が商標登録出願する前から自分が先に使用していたのだから、自分は今後もその商標を使用する正当な権利があるというものです。

ところが、先に使用していただけでは「先使用権」は認められないのです。
同時に「不正競争の目的がなかったこと」、「周知(有名)であること」も要求されます。

本ケースでは、「不正競争の目的がなかったこと」は問題ないでしょう。
一方、「周知(有名)であること」という条件をクリアできないと考えられます。
「周知」というには、ある程度広い地域で有名でなければなりません。全国的に有名であることまでは必要ないとされていますが、3000人ほどの町では「ある程度広い地域で有名である」とは認めてもらえない可能性が高いでしょう。

よって、残念ながら本ケースは商標権侵害となってしまうと考えられます。

商標は味方につければ心強いですが、先に他人に登録されてしまうとダメージが大きくなってしまうのです。
「商標登録は原則早いもの勝ち」と言われるのは、本ケースからもおわかりになるかと思います。

ビジネスが軌道に乗ってきたときに横取り的に商標登録されてしまったという話はよく聞きます。
悔しい思いをしないためにも、大事な商標は特許庁へ出願して、権利化しておきましょう。

河合 光一(かわい こういち)
弁理士
ビジネス著作権検定(上級)取得
千葉県生まれ。早稲田大学大学院商学研究科専門職学位課程ビジネス専攻(MBA)修了/柳孝一研究室(ベンチャー起業論)
著作:廃棄物ビジネスの変革者たち(環境新聞社)の一節を担当

2013年03月28日

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